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がんと(いわゆる)生活習慣病との関連は 30% ほど。発症原因の多くが「偶然」

[2024.06.21]

よくストレスや肥満でがんが起こる、みたいなハナシがありますが、数年前世界のトップジャーナルである Science(サイエンス)に掲載された総説によると、そのほとんどは偶発的要因、すなわち「たまたま」だそうで、がん発生の 60% を占めます。

ですからがんの診断を受けたひとが「なぜがんになったのか?」と考え、その結果思い詰めて「米食が悪い」「動物性脂肪が悪い」「毎日食べていたパンの小麦が悪い」と判断して極端な食生活や「健康食品(本当に健やかになれる保証はなにもないのですが)」を利用している患者さんは実に多いです。院長の肌感覚ですと前任地のがん研有明病院で多かれ少なかれ自分なりの「健康増進法」を実践している方は 1 人に 2 人くらいいらっしゃった印象です。

もちろんヒトは「努力すれば良いことがある」と信じたい生き物ですし、実際に上記のような自分なりの方法でうまくダイエットできたり朝目覚めたときの気分が爽快になった、という結果が伴っていればなんの問題もありません。

ただし「アヤシイ」健康食品や全く効果が証明されていないどころか理論的にも治療になるとは言い難い自由診療に大枚をはたいて配偶者を含めた家族が困惑する、というケースも少なからず見たことがあります。

ネットやマスコミでよく「野菜や果物をしっかりとりましょう」「運動をしましょう」「睡眠は十分に」などの言葉ががんの特集で出てくることがありますが、これらは院長の感覚ですとがんよりも心血管系の病気に有効な対策でしょう。昨日のブログで「薬品会社主催の講演ではその会社の薬について有利な内容が含まれる」的な内容のことを申しましたが、ネットやマスコミもその傾向は間違いなくあります(むしろ薬品会社よりも露骨な感じで)。

本来はわれわれ医師、とくにプライマリ・ケアを担う開業医が、かかりつけ医として地域の患者さんががんや心血管・脳血管疾患などのいわゆる「大きな病気」にかかったとき、患者さんの具体的な不安に答えるべき存在であるべきです。しかしながら、なかなか普段の診療時間中にそういったハナシをゆっくりすることが難しいのが現状です。

そういった患者さんのために当院ではセカンド・オピニオンとして火曜日午後に比較的ゆったり時間がとれるようなスケジュールを用意しております。がんはもちろん、その他医療・健康に関わることでしたらいつでもご相談いただければと思います。自費診療で行っております(こういった「誘導」もクリニックの利益追求、と思われる方がいるかもしれませんがプロとしての意見を述べる以上、正当な対価と思われる額を提示するよう心がけていますのでご理解いただければ幸いです)。

写真は国立がん研究センター時代に院長が初診し、その後今までずっと自分の外来に通ってくださっているある大学名誉教授の患者さんによる素晴らしい絵です。大変切除困難な腫瘍でしたが治療開始から 10 年を経過した現在も元気な姿を拝見すると医者冥利につきます(写真についてその患者さんの許諾を得ております)。

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