昨年母校の同窓会誌に載せた文章に用いた言葉遊びの手法
毎日おしりのことばかり言っているとなんだか患者さんにエラく心配されてしまうので本日は全く関係ない話題を。幸い術後の経過は順調なのだろう、という感じです(周期的に来る腸管蠕動が肛門に響くような時があり、その際は声が出るほど痛いのですが)。
昨年母校の同窓会誌『東京医科歯科大学 医科同窓会』(No. 303)に開業の経緯を紹介する文章を書きました。全文を載せますが、ちょっと字が小さくて読めないと思います。皆様に読んでほしいのは小見出しです。
- 開業前ー第三者承継に重要な前院長と場所
- いざオープン!ーその前に「先立つモノ」のハナシは避けられない
- 業者とうまく付き合うにはー「医師はカモネギ」を心に刻むべし
- 予測できない人事ー直感にしたがって手に入れていた掘り出し物
- 受付に丸投げでは済まない保険請求ー無知でもこれだけは知っておくべきでした
- 今まではできなかった実験ー新しい経験の連続で思わぬ副産物も
としましたが、このブログに来た方に伝えたいのは 1. → 6. まで頭文字(ひらがなにして一番初めの文字)、次いで 6. →1. まで終わりの文字(ひらがなにして一番最後の文字)を順番に読んでみると出てくる言葉です。
・・・わかりましたでしょうか?なかなかよくできているでしょう。
この手法、よくプレゼンでも使うことがあり、実際にやるとかなりウケます。ただ、これは院長が思いついたことではなく、1000 年近く前の先人に学んだアイディアです。その先人とは・・・『徒然草』で有名な吉田兼好(兼好法師)です。
彼が友人に書いた手紙を紹介しますね。
「夜(よ)も涼し
寝覚(ねざめ)の仮庵(かりほ)
手枕(たまくら)も
真袖(まそで)も秋に
隔て(へだて)なき風」
【意訳】夜もすっかり涼しくなって、粗末な仮住まいに寝起きし、手を枕の代わりに、着物の両袖を布団代わりにするような粗末な生活なので、秋風の寒さをしのげないのです。
⇒ これを先の手法で読んでみると「よねたまへ ぜにもほし(米給え 銭も欲し」となります。友人に食料と金銭を無心しているわけですね。
そして後日友人(頓阿というひと)からお返しの和歌が届きました。
「夜(よる)も憂(う)し
妬(ねた)く吾(わ)が背子(せこ)
果ては来ず
等閑(なおざり)にだに
しばし問いませ
【意訳】一晩じゅう待ったのに、愛しの彼は結局来てくれなかったそうですね……誠に残念ではありますが、その理由については、少し考えてみて下さい。
⇒ 同じように手法を用いて読んでみると「よねはなし せにずこし(米は無し 銭少し)」という返事でした。
風流ですねぇ。
現代なら「オイ、食いもんとカネくれよ」「メシなんかねぇけどカネなら少しだけ貸してやろうか?」とでも言うところを、和歌の意味も損なわずに見事に言葉のキャッチボールを行っております。
忙しい現代ですが、こういった言葉遊びや心の余裕を持って日々を生きていきたいと思う院長でした。
明日もゆっくり休んで明後日しっかり診療できるように体調整えるぞ(^O^)/