院長が勝手に考えた今後医療が進む方向について書いてみる
[2024.10.21]
ときどき中学高校の友人など、医療業界の外にいるひとやある種のインタビューなどで「今後の医療の方向性」について聞かれることがあります。
こんなときに院長の回答について箇条書きにしてみます。
- まず、医療はそう簡単に AI に置き換われない。特に日本の医療従事者は「おもてなし」「気配り」「おせっかい焼き」のところがあり、これら AI がなかなかマネできない特徴が強みとなって今後しばらくはさらに医療の必要度が増していく。
- がんの治療については (a) 放射線がもっとメジャーになっていく (b) 手術は縮小していく (c) 化学療法はファーストライン(最初の治療)により焦点を当てるようになり、治療選択のための遺伝子検査がより標準化していく
- ヘルスケアと医療の境界はきわめて曖昧になり、われわれ医師は(現在美容系の医師がそうであるように)いわゆる「患者(そもそもこの呼称はなくなっていくと思われる: 次項参照)」ではない「健常者(この呼称も微妙だが現時点ではほかによい用語がないので使用)」に対して積極的に医療を薦めていくようになる
- 3. の流れが進み、国民皆保険のうち一部または多くが自費化する(まずはロボット支援手術のうち腹腔鏡と保険点数が同じにさせられた術式が対象になりそうな気が・・・)
あとは個人的に「やってほしい」と思うが実際に断行する気概のある政治家がいるかといわれると首を捻ってしまうこととして
- 全国医療機関における電子カルテの共通フォーマット化
- 1. に基づきすべての医療情報データベース化
- 医師の一部強制を認める配置転換(国・地方として今後の人口減少社会にむけ「都市部への集中」を進めるのか「地方への分散」を進めるのか。いずれにしてもひとが住む場所には医療が必要、医療を提供するには医師が必要、ということで医師の職業選択自由を一部制限してでもこういった強制力を発動できるか。院長は基本的には国や地方から「あなたの力が必要だから ◯◯ の地へ行ってほしい」と本気で言われたら、ちゃんと条件(待遇や勤務環境)が揃っていれば、行く準備はあります)
もうすぐ衆議院選挙なのでつい政治的なことをずいぶん書いてしまいました。国民皆保険は守ってほしい一方、「もう保険診療だけじゃやっていけないよ」と思うタイミングもあり、本当に日々悩みつつも、目の前の患者さんにはベスト診療を、の一念で頑張っている院長でした。
・・・あ、「患者」の呼称についての意見を書き忘れました。これについてはまた明日。
「AI と 医療」で Chat GPT4o にイラストを描かせてみたのがコレ。所要時間 30 秒。
ちょっと硬いな、と思ったので「もう少し漫画っぽくして」と頼んでできたのがコレ。所要時間 20 秒。
・・・文章とかイラストとかはもう AI には敵わない。これは断言できます。今後われわれ医師はいかに "humanity" を高めていくかが問われていくでしょう。