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臨床的な推論から診断へのプロセスをそのままエンターテインメントにした NHK の番組が面白い

[2025.01.15]

当院の待合室にはディスプレイが 2 枚。左は院長自作の医療情報紹介動画。右は NHK や民法の地上波を流しております(昨今いろいろと言われている NHK ですがいちおうちゃんと受信料を払っています、ねんのため)。本日診療終了後、待合室の掃除を行っていると NHK で放送されていたのが『総合診療医ドクター G(ジェネラル)NEXT』という番組。

患者さんの病歴が、さながら病院の症例検討会のように提示されていきます。このとき少しずつヒントが明かされる構成になっており、あたかも自分がその患者さんを診察し、推論していくような感覚が味わえます。

番組は MC + 芸能人ゲストの方数名 + 症例を提示する指導医 + 研修医数名のメンバーで進行していきますが、医療従事者でない一般の視聴者がわかりやすいようないろいろな工夫があって患者さんへの説明や、講演を行ううえでのヒントになり、大変勉強になりました。以下のようなところです。

・検討される患者さんのリアルな生活の場が映像として描出され、どのような仕事をしてどのような家族構成でどのような過去の病気があってどのような契機で受診に至るようになったのかがすぐに呑み込める(こういったプレゼン様式、テレビというメディアが得意とするところでしょうね)

・医療について全く詳しくないゲストの方がいることで、われわれ開業医を含む「まずはじめに患者さんを診る医療者が常に持っていなければいけない "患者さんの症状に寄り添う" という姿勢」の重要性を再確認できる(これ、意味わかるでしょうか。医療者だけでディスカッションをする場合、ややもすると患者さんの「苦痛」「困ったこと」「望んでいること」よりも「診断」「今後の治療」「治療が手術の場合はその似ていなどのやや事務的なこと」が優先されることがあるのです。医療では、非医療従事者の目がないとこういった「患者を症例と捉えてしまう瞬間」というエアポケットのような時間帯がどうしても存在します。特に手術中や処置中など)

・難しい医療用語(例えば化膿性脊椎炎など)が出てきたら指導医から研修医に「◯◯ 先生、この "化膿性脊椎炎" とはどのような病気ですか?」とフリがはいり、研修医が芸能人ゲストに理解しやすい平素な言葉で説明することでわれわれ医療者にとっても理解が深まりやすい

ただ、ひとつ懸念点もあります。これはテレビ番組という体をなしていますが、症例提示という医療の枠組みをトレースしているからこそ思い浮かぶ懸念点なのですが。それについては長くなるのでまた明日。

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