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「泌尿器科」は名称変更されるべきか

[2024.03.29]

昨日のブログで「糖尿病」の名称が変更されそう、という話を紹介しました。変更の理由は「”糖尿病” という言葉のイメージが悪い」ということだそうです。

・・・イメージが悪い。これはもうわが泌尿器科のお家芸というか、もう何回もこすられたトピックです。

もう少し若い頃、初対面のひとに「ご職業は?」とか聞かれて「医師です」というと「すごーい!」とか言われて悦に入っていましたが、そのあとの一言がこわかった。「何科ですか?」こう聞かれれば当然答えるわけです。「・・・泌尿器科です」。

ここで「すごーい!」は絶対に出てきません。「心臓外科です」「脳神経外科です」「整形外科です」とかですと「キリッ」という眼光が鋭い先生がイメージされますが、「泌尿器科です」で「すごーい!」は頂けません。かわりに頂くのは、あまりうれしくない質問ばかりです。「・・・どうして泌尿器科になったのですか」「泌尿器科ってなにをやっているんですか」「最近尿のキレが悪いのですがどこかおかしいんですかね」「産婦人科の男性版ですか(← 最後のこれは一体どういう意味?)」・・・。泌尿器科医なら誰もが経験する「あるある」です。

そんな風潮に泌尿器科学会の偉い先生方も反応されたのでしょうか。いつだったか、なにかの泌尿器科関連の雑誌で「泌尿器科の名称を変更することを検討する」という内容の記事を読みました。「後腹膜外科」または「後腹膜科」という名称が候補として挙がっている、と書いてあった記憶があります(出典がわかりません。すみません)。後腹膜というのは深入りしない程度に説明すると、「泌尿器科で扱う臓器がおさまっている腹膜という大きな腹部を区画している膜の外にある解剖的部位」です。・・・さっぱりわかりませんね。すみません。ゴミ箱に、箱がよごれないようにビニール袋をかけることがありますね。このとき箱が腹壁、ビニール袋が腹膜です。腹膜の中、すなわちゴミ袋の中が腹腔で、箱の中ですがゴミ袋の外の部分が「後腹膜」です。・・・結局深入りしてしまいました。

個人的には「泌尿器科」に愛着がありますが、母校の東京医科歯科大学も東京工業大学と合併して名称変更してしまう時代です。さらに情報量の多い現代、「最初のイメージ」は重要です。それは見た目はもちろん、こういった名前にも通じることかもしれません。ですので名称変更ももしかすると吉と出る(泌尿器科を専門として目指す医学生や研修医が増える)可能性はあります。

・・・でも「後腹膜科」だと結局一般の方には何をやっているのかよくわからなくて結局「・・・なにをやっている科なんですか?」は聞かれそうですね・・・。

後腹膜と腹腔の関係。ビニール袋が腹膜です。わかっていただけるでしょうか・・・。

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