大地震発生!災害医療のハナシーその 1:多数の患者さんがいる中で治療の順番は?
世界の地震のうち、20% は日本で起きているといわれております。今年は元旦に能登半島地震が起こり、現在の復旧支援活動が行われております。
院長は秦野伊勢原医師会に所属しておりますが、当会の取り決めで震度 6 以上の地震が起こったらまずは地域で集合することになっています。
その際、当然たくさんの傷病患者さんが来られますが、このとき「どのような順番で治療するか」が "トリアージ" です。阪神淡路大震災で有名になって以来、ご存知の方も多いかもしれません。
このトリアージ、最も重要なことは「重症者を短時間で発見し救命すること」ですのでたくさんの傷病者を効率よくふるい分けする必要があります。
まずはじめに、例えば救護所の玄関などで行う 1 次トリアージが START 法、その後救護所内で行う 2 次トリアージが PAT 法です。
START 法は簡単で、長くても 30 秒ほどあれば評価できます。内容を簡単にまとめると
- 歩ける・・・軽症(緑色のタグ)
- 歩けないかつ自発呼吸なし
- 気道確保しても呼吸なし・・・無呼吸群(黒のタグ)
- 気道確保すると呼吸あり・・・最優先治療群(赤のタグ)
- 歩けないかつ自発呼吸あり
- 呼吸回数が 30 回/分以上また 9 回/分以下(かなりアバウトで可)・・・最優先治療群(赤のタグ)
- 呼吸回数正常だが次のいずれかをともなう:橈骨動脈触知しない/皮膚蒼白/冷汗/微弱な脈/頻脈など・・・最優先治療群(赤のタグ)
- 橈骨動脈触知するが簡単な指示に応じない・・・最優先治療群(赤のタグ)
- 橈骨動脈触知し、簡単な指示に応じる・・・待機的治療群(黃のタグ)
- 歩けないが、3-d でかつ介助があれば歩ける・・・軽症(緑のタグ)
のようになっています。
これらに基づきまず傷病者に各色のタグをつけ、救護所内の 2 次トリアージでさらに詳しく評価します。
明日は 2 次トリアージについて簡単に説明したいと思います。
皆様、この日本で生活する以上、地震などの災害は避けられません。「備えあれば憂いなし」といいます。是非日頃から常用薬は 7-10 日分程度のストックを持っておき、避難用具や非常食などは定期的にローリングストック法(これについては後日また触れたいと思います)などを行うように習慣付けるようにしましょう。
写真は実際に使用するトリアージタグです。