メニュー

肝機能の数値に気をつけましょうー奈良宣言 2023

[2023.12.20]

近年、B 型肝炎や C 型肝炎などのウイルス性肝疾患の治療は劇的に進歩しました。その一方でいまだ肝硬変や肝臓がんに進行してから初めて診断されるケースが少なくはなく、そういった患者さんの早期拾い上げはわれわれプライマリ・ケアを担う開業医にとって重要です。

今年 6 月に開催された第 59 回日本肝臓学会総会にて、慢性肝臓病を早期に拾い上げるための「奈良宣言」が発表されました。これは「肝疾患の早期発見・早期治療のきっかけ」として ALT(かつては GPT といわれていました)> 30 をひとつの目安としています。これは、ALT > 30 症例で肝生検(肝臓の組織を採取する検査)を行うと、ほとんどの症例で組織内に炎症細胞浸潤を認めることがこの宣言に至る根拠となっています。

これまで、特定健診や日本人間ドック協会基準では ALT が 51 以上でないと要精査となりませんでしたので、この宣言発表後、当院でも患者さんに肝機能障害についての評価を厳しくしました。

治療が必要な肝疾患症例つまりは肝硬変や肝がんになる前に、前段階である慢性肝臓病(Chronic Liver Disease: CLD)を早期に発見し医療介入することを目的としています。「ALT 値 30 超えるとき」というのは覚えやすく、キャッチーなので宣言としては受け入れやすいものでしょう。

ただ、「奈良宣言 2023」はあくまで提言であり、ALT > 30 で必ず全例精査しなければいけないわけではありません。年齢や基礎疾患、現在の全身状態を考慮しながら対応することになります。

残念ながら院長は肝臓専門医ではないので、ALT 値をはじめ、肝臓関連検査値や肝エコー所見に異常が認められる場合、積極的に近隣の病院消化器内科を紹介させていただきます。

全く違う話ですが、何回見ても奈良のゆるキャラ「せんとくん」の頭からニョキッと出ている鹿のツノが気になって仕方がありません。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME