公衆衛生学は広い領域を扱う医学の一分野です
本日も昨日に引き続き「水」のお話を。
医学で大きなものを占める分野として「公衆衛生学」があります。
これは非常に広い分野で、説明すると「疾病予防や健康増進のための組織的な取り組みを行うための学問。ヒト集団の健康にかかわる自然・社会・環境要因を明らかにして処方箋としての社会制度を提案するためにある」(富山大学医学部公衆衛生学講座のウェブサイトにあった説明を院長が改変)となります。
例えばインフルエンザ予防のための人流解析や予防のための消毒・マスク着用などに関する知見はすべて公衆衛生学に含まれますし、エアコンを清掃しないことで起こる肺炎の病因に関するデータや子供が過ごす学校や労働者が活動する職場の衛生管理などもすべてこの分野に含まれます。本当に広い領域です。
そのため、近年の医師国家試験では大体全 500 問のうち、50 問(12.5%)以上をこの公衆衛生学関連問題が占めます。
・・・となると当然水道に関する問題も出題されています。
水道法に基づく水道水の水質基準について誤っているのはどれか。(第 114 回 医師国家試験 F 問題 1 問目)
a. 濁度は 2 度以下
b. 味は異常でないこと
c. pH 値は 5.8 以上 8.6 以下
d. 大腸菌が 10 コロニー/mL 以下
e. 一般細菌が 100 コロニー/mL 以下
答えは d で、水道法では「大腸菌は検出されない」ことが基準となっています。
昨日のブログで記載したように、日本は「水道水を飲料水として安全に飲める数少ない国」のひとつです。しかも普及率は総人口 1 億 2517 万人のうち 98.2% で世界トップクラス。全国各地の水道局が水源から排水管を適切に管理してくれているおかげでわれわれは安全に水を利用できます。
ちなみに近代水道が開通したのは当院のある神奈川県が始まりです(残念ながら秦野ではなく横浜ですが)。それから徐々に水道管は全国に張り巡らされ、その長さは 73 万 km といわれています(地球 18 周分!)。
さらに日本の水道水は安全なだけではありません。特に当院のある秦野市は日本の名水百選に選ばれているだけでなく、百選のなかで「ある部門」で日本一となっています。
明日はそのことについて、まだ秦野在住歴 1 年そこそこの新米市民である院長が「秦野の水」についてその魅力を紹介して水の話題のシメとさせていただきます。
これから暑い夏がやってきます。水を大切にしましょう! (写真は昨年夏の空です)