メニュー

油は「いい油」を使って効率よくエネルギーを摂りましょう

[2024.03.02]

脂質は三大栄養素のひとつでしばしば糖分とならんで「なるべく減らした方がよい悪者」扱いされることが多いです。しかしながら体内で非常に重要な役割を担っていますので、特に高コレステロール血症や糖尿病など生活習慣病をお持ちの方にはその特徴を是非知っておいていただきたいと思います。

特に毎日の料理で使用する油脂は、そのカラダに対する影響が種類によって異なります。日常でよく使われる植物油の種類と特徴を知っておきましょう。

まず脂質は 9 kcal/gと、三大栄養素(炭水化物とタンパク質と脂質でこう呼ばれますね)の中では一番効率的にカロリーを補給できる栄養素(ほかは 4 kcal g/ です)です。そのため、「太る」という印象を持っている方が多くいますが、脂質の働きはなかなかに重要ですので欠かすことのないエネルギー源です。われわれヒトだけでなく動物の細胞膜やホルモン(泌尿器科・内科でしばしば用いられるグルココルチコイド、すなわちステロイドなどがこれにあたります)の材料になるほか、脂溶性ビタミンと呼ばれるビタミン A, D, E, K の吸収補助効果もあります。脂肪酸の種類によっては血流の改善や抗炎症の作用もあります。

脂質は胃滞在時間が長いため、これを含む食事はいわゆる「腹持ちが良」く 、朝食にとることで日中の活性化に繋がります。また、消化に時間がかかるため、便通の改善効果も期待できます。

油脂の取り過ぎは肥満を招く要因になりますが、「いい油」を適量摂取するのは健康保持のために重要です。

それぞれの種類についてみていきましょう。

  1. キャノーラ油ーーー原料は菜の花の種子でナタネ油とも呼ばれます。世界中で最も生産量が多い植物油のひとつです。透明で無臭のため、いろいろな料理に活用ができ、世界で最も使われているといわれています。かつては健康を損なう成分が多く含まれていたのですが、最近では、オレイン酸を多く含むハイオレイックタイプなどが増えていますので比較的安全に使用可能です。
  2. ゴマ油ーーー原料はゴマの種子です。強い抗酸化作用をもつセサミン(セサミンはゴマリグナンと呼ばれるゴマ特有成分の一種でポリフェノールの仲間です。ゴマひとつぶ 1% 未満しか含まれていない希少成分です)を含んています。焙煎したゴマを使い、精製しないのが茶色のゴマ油で、一方で焙煎せずに精製した透明のゴマ油もあります。天ぷらなどの日本料理に用いられることが多いですね。
  3. ヒマワリ油ーーー原料はヒマワリの種子。品種改良されたハイオレイックタイプ(オレイン酸を 75% 以上と多く含む)が主流です。ヒマワリ油は体に悪いのではないかと言われることがあり、この理由として、この油にはリノール酸が含まれる点などが挙げられます。リノール酸を大量に摂取することは体に悪いのですが、ハイオレイックタイプを選ぶことでリノール酸の過度な摂取を避けることができます。
  4. エキストラバージンオリーブオイルーーーオリーブオイルの国際規格を示している国際オリーブ協会が「オリーブの実だけを原料にし、加熱や化学的な処理を行っていないものをバージンオリーブオイルと呼ぶ」、と規定しています。特に食用区分では、バージンオリーブオイルを 3 つの等級に分けています。それらバージンオリーブオイルのなかで、特に「遊離酸度が 0.8% 以下で、風味が優れているもの」だけを「エキストラバージンオリーブオイルと呼ぶ」としています。精製したオリーブオイルにエキストラバージンオリーブオイルを加え、加工した油はピュアオイルと呼ばれ、オレイン酸を主体として抗酸化作用を有しコレステロール値を下げる臨床結果が示されています。独特の風味・色・香りを持ち、和食、イタリアン、フランスパンなどと一緒に摂ると美味しいですね。
  5. グレープシードオイルーーー原料はぶどうの種子。オリーブオイルの一種と思われることがありますが、成分はオレイン酸 20%、リノール酸 70% の割合で構成されています。脂溶性ビタミンであるビタミン E がオリーブオイルの倍以上含まれています。クセがなく和食や卵料理で使用されます。
  6. ココナッツオイルーーー原料はココナッツ。ココナッツオイルを摂取すると一部が「ケトン体」という、認知機能の改善や長寿などにつながるといわれている成分にかわります。ケトン体を作りやすいのは血中にブドウ糖がない時なので睡眠中の絶食後、すなわち朝、糖質以外のものと一緒に摂るのが効果的です。独特の風味があり、カレー、コーヒーやお菓子などと合わせられます。
  7. エゴマ油ーーー原料はシソ科エゴマの種子。オメガ 3 系脂肪酸を多く含み、これらは血流改善や抗炎症作用などが期待でき、福島県などの一部地方ではエゴマの事を「食べると十年長生きできる」といういわれから「ジュウネン」と 呼ばれているそうです。エゴマ油は食用の他、灯籠や提灯の燃料として、また傘や雨合羽、さらに建築家具の塗装としても用いられ、戦国時代では美濃の斎藤道三が若いころ、エゴマ油の行商人として財をなしたとつたえられています(実際は斎藤道三の父親が商人だったようです)。鎌倉時代から徳川幕府中期まで 800 年にわたり、日本はエゴマ油の全盛時代でしたが、江戸時代後期に、ナタネ油が広がり、エゴマを作る人が少なくなりました。これは「搾れる油の量がナタネ油のほうが断然多い」という理由によります。酸化に弱く加熱調理ができず、開封後は早めに使わなければなりません。

・・・油ひとつとってみても大変奥が深いですね。毎日摂るものですので、一度ゆっくり自分に合った油種はなにか、家族で相談してみると面白いかもしれません。

写真は自宅にあった油です。成分をじっくりみてみましたがわからない原料もあり、今度じっくり調べてみようと思いました。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME