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医師国家試験を勉強が少し得意な高校生が受けたら 3-4 割くらい取れるかもしれないと思わせる問題をいくつか。

[2025.03.02]

医師の資格は弁護士・公認会計士と並んで三大国家資格と言われます。しかし合格率が司法試験-40% くらい、公認会計士試験-(最終合格率) 7.4% に対して医師国家試験は毎年 90% を超えますので「落とす試験」ではなく「他の医学生と同じように勉強すれば受かる試験」です。

そんな医師国家試験ですから、全 400 問のなかには一般常識で正答にたどり着く問題がたくさんあります。これは問題作成者(大学教授が多い。院長の知り合いも何人か入っていらっしゃいます)からの「教科書や参考書で勉強するよりもしっかりと医療における常識を身につけておきなさいよ」というメッセージなのでしょう。

最近の医師国家試験からそんな問題をいくつか。是非少し考えてから正答をみてください。

[119C52] 8歳の女児。12月1日(金)午後6時から発熱を認めたため、12月2日(土)に母親に連れられて来院した。抗原検査でインフルエンザAと診断され、抗インフルエンザ薬を処方された。12月3日(日)には解熱し、症状が改善した。12月のカレンダーを以下に示す。登校が可能になるのはどれか。

a. 4日(月) b. 5日(火) c. 6日(水) d. 7日(木) e. 8日(金)

 

 

 

・・・インフルエンザは学校保健安全法により 

1. インフルエンザを発症してから 5 日経っていること(発熱した翌日を1日目とする)

2. 熱が下がってから 2 日経っていること の 2 つの条件をどちらも満たす必要があるため

正解は c となります。極めて実臨床に即している良問といえましょう。

 

[118E15] 医師の職業倫理に反するのはどれか。

a. 患者からのセカンドオピニオンの求めに応じる。
b. 他の医師の不適切な医療行為に対して忠告する。
c. 自身の業務に関係のない患者の電子カルテを閲覧する。
d. 治験薬剤の適応に合致する患者に治験の情報を提供する。
e. 判断能力のない患者の利益擁護者に病状や治療内容を説明する。

 

 

 

・・・ a. はセカンドオピニオンに応じるのがダメなら当院の火曜日午後診療ができなくなってしまうのでバツ。b. は「医師が不適切なことしてるな」っていうことを忠告できなかったら組織としてヤバいのでバツ。d. は治験(臨床試験)の条件に合致していれば治験情報を関係者(例えば、正式な手続きを踏んで治験を管理している臨床試験代行の企業など)に伝えることは問題ないのでバツ。e. については「判断能力がな」ければ「利益擁護者」にしか病状説明してはいけないのでこれもバツ。ということで正答は c. です。「芸能人が入院した!」とか言って診療に関係のない医師がそのカルテを閲覧することは厳に慎むべきなのでこれが誤りです。

 

[117E23] 第一次世界大戦とほぼ時期を同じくしてパンデミックがみられた感染症はどれか。

a. エボラ出血熱 b. インフルエンザ c. 鳥インフルエンザ(H5N1) d. 中東呼吸器症候群(MERS) e. 後天性ヒト免疫不全症候群(AIDS)

 

 

 

・・・ 第一次世界大戦が 1914-1918 年に起こったことを知らないといけない問題ですね。2023 年の問題ですから、ちょうど新型コロナウイルス感染症による様々な "自粛" がそろそろ終わりを迎えようとしている頃です。近現代における有名な世界的なパンデミックとして新型コロナと並ぶのが "スペインかぜ" です。これは、「かぜ」となっていますが実際はインフルエンザです。b. の選択肢が「スペインかぜ」だったらおそらく多くの医学生が正解だったと思いますが、意図的に「インフルエンザ」としているのが医師国家試験としてはやや意地悪な印象ですが、内容については医師全員が知っておくべき知識かと思います。

 

大学入学共通テストもそうですが、こういった公的な試験の問題作成者は「なるべくアップデートな知識を」と日々考えて真剣に作成に取り組んでおられることでしょう。院長にとってもいろいろ勉強になる問題が多いので、時間があるときに目を通して自分の学びにしようと思った日曜日でした。

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