3 月 18 日に 漢方のセミナーでしゃべります。まずは基本的なことを泌尿器科医の立場から。
われわれの世代(1995 年に入学)は大学の講義で漢方や鍼灸などの東洋医学は全くありませんでした。それどころか、なんとなく「東洋医学はイロモノ」みたいな雰囲気が強かったように思います。振り返ればこれは残念なことで、日本の医学史において西洋医学が入ってきたのは江戸時代の蘭学の頃、それ以前は漢方などの東洋医学が本流として行われていたのですから、できればしっかりと学ぶ機会があればよかった気がします。
ただその分、医師になってから、特に開業してから漢方や鍼灸などを深く学ぶようになり、西洋医学と東洋医学との "二通りの診察" で患者さんを複眼的に診ることができるようになった気がしています。
東洋医学である漢方薬は、院長にとっては「西洋医学ではカバーできない分野で活躍するツール」という印象をもっています。"冷え" が強くて頻繁に膀胱炎を起こす女性、慢性骨盤痛と呼ばれる、「痛いというほどではないがじっとしていると気になるような会陰部(男性の "自転車でサドルが当たる部分")の違和感」を訴える方、いわゆる男性更年期障害を疑うような症状をもつ夫を心配して来院された夫婦など。西洋薬を処方してすぐに解決するようなことが少ない症状にキチンと診察してから処方を考えると、ある程度の症状緩和が得られます。
この「ある程度」というのが和漢(日本で独自に発達した漢方)のいいところなのかもしれません。というのは、現在「エキス剤」と呼ばれる「パッケージ化された漢方」は本場中国の漢方薬と比較するとだいぶ構成生薬の含有量が少なく、「ガッチリとは効かないが、副作用も少なくマイルドに効果を出す」ことが多いからです。もちろんものすごい優秀な漢方医ならこのエキス剤でも著効(ものすごく効くこと)するケースを多数経験するのかもしれませんが、今の院長の漢方処方力ですと「10 ある症状を 4〜6 くらいに軽減する」イメージでエキス剤を使用しております。
・・・そんな漢方に関する講演会でしゃべる機会を株式会社ツムラさんに頂きました。 3 月 18 日です。「WEB で伝える漢方 2024」というセミナーの年度最後の演者だそうです。責任重大。特に内科や総合診療をされている先生方に聴いていただければと思います。よろしくお願いしますm(_ _)m