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体内で重量は軽いのに全血液の 20-25% を必要とする重要臓器とは

[2024.06.25]

成人ひとりについて、全身の血管をすべて合わせると長さはどのくらいになると思いますか?

答えはおよそ 10 万キロメートルで、実に地球 2 周半ほどになるといわれております。

このうち 90% 以上は毛細血管で、外腸骨動脈とか上腸間膜動脈とか名前がついている太い血管が総長に占める割合はほんの一部です。

それでは臓器別にみて、最も多く血流を必要とする臓器(心臓から拍出された血液が向かう先として最大の臓器)はなんでしょうか?

答えは腎臓で、両側あわせて心拍出量(心臓が送り出す血液の量。成人で大体 1 分あたり 5 リットルくらいです)の 20-25% もの血液が流れ込んできます。重量は左右あわせて 500 g 程度ですので 60 kg 体重がある方ですと体重比で 0.8% しかない臓器なのに。そのため腎腫瘍の手術(腎部分切除といって、腎がんの症例で腫瘍だけを切除するもの)で重要な点を並べると

  1. 腫瘍の完全切除
  2. 術中ならびに術後の出血コントロール
  3. 長期にわたる腎機能の温存

という順かと思います。ただし、2. の出血コントロールはときに 1. より重要です。というのは、極めてまれですが術後 1-2 日目くらいに驚くくらいの出血(後出血-こうしゅっけつと呼ばれます)に遭遇して致命的な合併症になりうるからです。

腎臓を大事にして生涯健康でいられるよう、塩分はほどほどにし、タバコはなるべくやめてこの毛細血管が豊富にある臓器を日々いたわるようにしましょう。

院長も最近はなるべく薄味にするように心がけています。

                   

写真は以前作成した腎臓と腫瘍の 3D プリンターモデルです。右図のように腫瘍部分が取り外せるようになっています。腎部分切除の手術イメージはシンプルにするとこんな感じです。

 

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