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睡眠障害とその対応 (1)

[2023.08.30]

自分も 46 歳となり、だいぶ眠りが浅くなりました。30 代前半までは目覚ましをかけても寝坊ばかりしていたのに、今はなにもセットしなくても 5 時半くらいには自然と目が覚めてしまいます。2014 年に実施された「国民健康・栄養調査」(厚生労働省)によれば、日本人成人の約 20% が慢性的な不眠状態にあるとされています。当院に来られる患者さんのなかにも睡眠に関する症状を訴える方がおられ、先日数えたところ、およそ 19 名に 1 名の方がいわゆる睡眠剤を内服されていました。

 患者さんによく「ぐっすり眠るためにはどうすればよいでしょうか」と聞かれます。眠りについてネットで検索すると、本当に様々な、玉石混淆の情報がヒットします。

自分が調べてエビデンス(=科学的根拠)が確認された、または高名な学者が述べていて、根拠がありそうな考え方を箇条書きしておきます。

  • 「ヒトは眠りにくい動物である」ということを認識する。

われわれ現代人の先祖とはどのような種族でしたでしょうか?おそらくは原始時代に危険なケモノから常に気を張っていられる、言ってみれば「眠りが浅い種族」のほうが生存可能性が高いため、われわれはそういった種族の子孫であろうと考えられます。ぐっすり眠る、というのは人類の長い歴史から考えればごくごく最近の習慣であるということを知っていると、なんとなく気が楽になるかもしれません。

  • 就寝の準備としての行動を確認する 

スポーツや行楽でクタクタに遊び疲れて夜帰ってきたらすぐに皆さん寝たくなりますね。この状況であればすぐに入眠して良好な睡眠を得る可能性が高くなります。すなわち「日中適切なレベルでからだに負荷をかけて少し疲れておく」ことが重要です。ただしこのためにはその前の日にぐっすり寝て体調を良くしておく必要がありますので、よい睡眠は習慣化が特に大事といえるでしょう。

  • 快適な睡眠環境を用意する

音・光・温度が重要です。まずは静かな部屋で寝るようにしましょう。テレビ・ネットのつけっぱなしはやめたほうがよいです。特にヒトが話す「声」には耳がとても敏感に反応しますので、話し言葉が聞こえる環境はさけましょう。全く聞き取れない外国語を睡眠薬がわりに聴くのはもしかすると良いかもしれませんが・・・。

つぎに光は極力少ないほうがよいとされております。特に明け方に窓から入る光は窓の位置や大きさによっては非常に明るいので遮光カーテンなどをうまく使用するようにしましょう。

温度についてはエアコンなどで自分の適温にあわせて調節するようにしましょう。冬場では喉が乾燥しないように加湿器の使用も有効です。個人的には手入れが最小限で済むポット型の加湿器がお薦めです。

  • 同じ時刻に起き、起きたときに光を浴びるよう習慣づける

よく、「規則正しく同じ時刻に起きて、寝ましょう」と書いてあるものを目にしますが、ヒトの時計遺伝子に関する研究では 25 時間前後(個人差あり)で 24 時間よりも長い、といういくつかの研究報告があります。そう考えると、現代生活においては「起床時刻を一定にして、体内時計をあわせるために朝陽と同じレベルの光を浴びる」ことが調整しやすいでしょう。特に重要なのは週末など休みの日で、例えば土日に毎週遅くまで寝ていると、睡眠リズムが大きく乱れてしまうので避けたいところです。週末、アクティブに活動するために夜更かししすぎないようにしましょう。もちろん、就寝時刻も一定にすることができればさらによいと思います。

 

・・・ここまで書きましたが、まだまだあるので本日はこのくらいにしておきます。続きは後日に。

おやすみなさい。

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