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職業で字のキレイさを競ったらおそらく医師は下位になる気がします

[2025.02.13]

先日研究会に出席したときのハナシをしました。それに関連して最近研究会に参加したときに思い出したことがあります。それは「医者の字は読みにくい」ということ。研究会に参加するときはたいてい受付で「ご所属とお名前をお願いします」とペンや筆ペンを渡されます。そこで、すでに受付を済ませた先生方の筆跡を確認できるのですが、正直言ってあまり美文字を見ることは少ないです。

最近はどの施設も電子カルテになりましたからあまり困ることはなくなりましたが、院長が研修医の頃はまだ紙カルテ時代。卒業後すぐに大学病院で働いたのですが、「先輩ドクターのカルテ読めねぇよ!」ということが日常茶飯事でした。こんなことがありました。朝 6:30 病院に来てみると、前日手術をした患者さんが夜中に血圧が低下したとのこと。カルテを見てみると「2:50 AM BP(血圧のこと) 87/56 ⇒ ◯◯ コールして対応について確認」と記載してありました。◯◯ に漢字二字でなにか書いてあるのですが「ミミズがのたくったような字」で読めません。当直対応してくれた先生は(当直明けなので)まだ寝ています。「これなんて書いてあるんですか?」だけ聞くのに起こすのも悪いし・・・。

夜勤の看護師に聞いてみると「ああ、それ "循内" じゃないですか?」とのこと。循内とは循環器内科で、心臓や血圧管理を専門とする内科です。「(前日当直した)▢▢ 先生の字って独特なので自分も読めるようになるまで 1 年くらいかかりました」とのこと。「イヤイヤ、古文書読むんじゃないんだから読める字書いてくれよ」と思ったのを覚えています。また、その後 1 年ほど大学で勤務しているうちに確かに「この字は △△ 先生、これは ◇◇ 先生で・・・」という感じで院長も(別に嬉しくないのですが)クセのある字を読めるようになっていました。

院長はよく「字が上手ですね」と言われます。これは中学校で国語を教えてくれた先生の板書がものすごく美麗で、「あんな字を書きたい」と思ったことがきっかけで、ペン字ならぬ「鉛筆字」を随分練習したおかげだと思います。高校 1 年時担任(李白と酒をこよなく愛する古文漢文の先生でした)の板書もものすごくキレイでした。あと自分を育ててくれたおばあちゃんが美麗な字を書く方で、いつもクセなのか、なにかあると指で膝や机に「エアー文字練習」みたいなことをしていました。そのクセは 2 世代下の院長にも引き継がれており、会議中いつも指で何やら字を書いています(無意識に動いてしまう)。

このブログをはじめ、現在はほとんどデジタルで事が済みますので字を書く機会が減りましたが、デジタル時代だからこそアナログのスキルがあることが目立つこともあると思います。明日は「字が上手いことで(おそらく)得をした経験」を 2 つほど紹介してみたいと思います。

写真は院長の字です。漢方各方剤の構成生薬を思い出しながら書いているノートより。漢字を書くなら三菱鉛筆の「ユニボール シグノ 0.5」が大好きです。もう何年もこのシリーズをブルーブラック色で使用しております。読みやすいでしょ?

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