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診療科と守備範囲について。あと、それにまつわる院長の雑感

[2024.08.28]

まずは問題を 2 つほど。

  1. トイレで尿に血液が混じっていたとき、皆さんは近くに 2 つのクリニックがあったらどちらを受診するでしょうか?ひとつは腎臓内科専門。もうひとつは泌尿器科専門。
  2. 草野球をしていて早い打球のゴロを捕ろうとしてワンバウンドしたボールが右季肋部(おへそのやや右上、肋骨の一番下あたり)に当たったとしましょう。ひとつは外科専門。もうひとつは整形外科専門。

・・・迷いますよね。

ひとつめの質問は正直言って「(どちらかといえば泌尿器科だと思うが)どちらでもよい」で、ふたつめの質問は「肋骨を圧して痛かったら整形外科、お腹の中が痛かったら外科」が正解なのですが、なかなかこれは医療従事者でも難しいんです。

医学がどんどん発展し、それぞれの診療学(内科学・外科学・眼科学・皮膚科学など)の専門性が増しています。ただしその一方で境界領域というか、複数の診療科がオーバーラップして関わっている疾患や病態があります。また、そういった疾患や病態を含めて人体を広く全体的に診る分野として家庭医学・総合診療学という専門もあります。

院長のような開業医に必要なのはすべての患者さんを最後まで診ることではなく、適切に振り分けて専門施設に紹介したり、初期対応を行うことです。もちろん主診療科で専門の泌尿器科については可能な限り当院で完結させたいですが、全身麻酔手術がここでできるわけではありません。幸い近隣に素晴らしい施設が多数ありますのでこれまで同様病診連携を強化し、結果として地域全体でベストの診療を提供できればと思います。

「なにかあったらとりあえず秦野北クリニックの院長に相談してみよう」と思っていただけるような "幅広い" 医師になることが目下の院長の目標です。そのためいろいろな方面にアンテナを張り、日々不断の学習を続けていきたいと思います。

明日は最近経験した「泌尿器科と循環器(心臓・血管)の境界付近をとらえたエコー検査」について述べてみようと思います。

写真は膀胱をすべて摘除したときに行う、小腸をもちいた皮膚上に造設する尿の排泄口(ストーマと呼ばれます)の術式について書いた 2023 年の総説です。現在は聖路加国際病院泌尿器科で活躍されている 西野 貴斗 先生と一緒に執筆したものです。泌尿器科と消化器外科がオーバーラップする領域の一例として提示してみました。

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