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LOH 症候群をご存知でしょうか

[2024.06.08]

男性更年期障害という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

加齢男性・性腺機能低下症候群ともいわれ、男性の健康増進に関わるメンズヘルス診療を担う泌尿器科には少なくない患者さんがいらっしゃいます。ガイドライン上は LOH (Late-onset hypogonadism)症候群といわれているのでここではこの用語で統一します。

これは加齢およびそれに伴う男性ホルモン低下がきっかけとなり、

身体症状・・・筋肉痛、腰痛症、排尿障害など

心の症状・・・不安による不眠、抑うつ、集中力低下など

の諸症状につながる症候群です。

こういった症状を多数かかえた患者さんが一般内科に受診した場合、ややもすると「筋肉痛にロキソニンテープ、腰痛症にカロナール、排尿障害にハルナール、不眠にベルソムラ、抑うつにサインバルタ、集中力低下にコンサータ」など、ひとつひとつの症状に薬を出してしまうことがありえます(もちろん初診でこんなに出す医者はいませんが)。

このような患者さんが中年と呼ばれる年齢(35 〜 60 歳くらいまででしょうか)の男性の場合、テストステロン・フリーテストステロンと呼ばれる男性ホルモン値を確認し、低い場合では AMS スコアと呼ばれるアンケートになっている点数表なども参考に LOH 症候群の診断が確定します。

こうなると不足している男性ホルモンを補充することが第一選択となるのですが、補充してもなかなか症状が改善しない患者さんが少なからずおられます(というか、内科など他の診療科で補充療法を行ったものの、効果が得られなかった患者さんが泌尿器科に来る、という流れを多く経験します)。

この場合、男性ホルモンの投与経路(例えば筋肉注射を皮膚に塗る経皮的投与にする)をかえるだけで効果がみられることもありますが、結局男性ホルモンの補充にはかわらないのでやはり治療戦略を再考する必要があります。

このとき院長がよく使うのが漢方で、よく使うのは八味地黄丸とよばれる、昔からある「アンチエイジング薬」です。しかしながらそれとは別に脈・舌・腹の東洋医学的診察と細かい症状聴取で半夏白朮天麻湯という方剤をもちいたところ、LOH 症候群と考えられたすべての症状がほとんど消えてしまった患者さんがいました。

・・・長くなってしまいました。それらの症状と、半夏白朮天麻湯の構成生薬のうちどの生薬が効いたのかについてはまた明日。

ところで、本日診療終了後から第 15 回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会 2024 参加のため浜松に来ています。ここで勉強したことについてはまた後日ブログで紹介させていただきます。

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