末尾にあるアルファベットに込めた思いを知っていきましょう。
子供の頃『ドラゴンボール』が大人気で、小学校のとき、院長の住んでいた神奈川県では毎週水曜日 19:00 から放映されていました。院長は当時ソロバン・エレクトーン・水泳・公文式をそれぞれ週 1 回習いに行き、さらには週 3 で剣道の道場に行っていました。毎週水曜日は剣道だったか水泳だったかで家に着くのが 19:18 くらいになってしまい、アニメ全編を観られないことがよくありました。
当時クラス男子の会話はドラゴンボール関連がかなり多く、放映翌日にはしばしば話題に上がりました。半分も観ていない院長でしたが、会話には問題なくついていくことができました。というのは週刊少年ジャンプを毎週必ず(神奈川県では月曜日に店頭に並んだ)買っていたからです。当時は 170 円で買えました。確か兄と交互に買っていた記憶があります。小学校 3 年生のときの月のお小遣いが 500 円でしたので、2 週に 1 回のジャンプでそのうちの 340 円は飛んでしまった計算になります。ただし正月にお年玉をいろいろな親戚からもらって 30,000 円くらいのエクストラな収入(?)があったのでなんとかやっていました。ガリガリ君もその頃は 50 円と安かったですし。
そんなドラゴンボールがある日『ドラゴンボール Z』になりました。Wikipedia によると平成元年だそうです。当時は院長も中学 1 年生。さすがにドラゴンボールばかり観ているわけではありませんでしたが、友達と「Z って?」ということでちょっとした論争になりました。いろいろな言葉が(勝手に)候補に上がりました。「Z ってなんとなくカッコいい」「絶頂」「斬新」「善」「残酷」・・・最後のは多分違うと気づいていましたが、まあいろいろ想いを巡らせることは楽しかったですね。またまた Wikipedia を読むと番組タイトルの「Z」は鳥山明本人によると「ドラゴンボールを早く終わらせたくてアルファベットの最後の文字である『Z』にした」とのこと。えー!?そんな後ろ向きな意味だったんですね。純粋な子供の頃に知らなくてよかったです。
本稿では別にアニメのハナシをしたいわけではなく。日々当院で使用される薬に "ゾラデックス LA" とか "リュープリン SR" とか "ニフェジピン CR" とか "ハルナール D" とか末尾にアルファベットがつくものがあります。これらはすべて理由があり、
LA = Long Acting なので「長く効く」
SR = Sustained Release なので「持続して放出される」
CR = Controlled Release なので「調整されて放出される(ゆっくりゆっくり血中に出てくるイメージ)
D = Disintegrating なので「崩壊する(口の中で溶ける)」
などの意味が込められています。
これらの薬で注意することがあります。それは「粉砕や分割をするときは薬剤師や医師に確認してほしい!」ということです。特に上記の LA とか SR など、「ゆっくり出てくる」タイプの薬(徐放剤と呼ばれます)は薬が何層かに分かれて作られています(ラムネみたいにどこを取り出しても同じ成分ではありません)。下手に粉砕したり分割したりすると本来の薬効が得られないばかりか、ときに急激な吸収による一過性の血中薬物濃度事上昇をもたらし、副作用出現や持続性の消失による悪影響(たとえば少しずつ降圧剤成分が出てくる薬なのにその効果が十分続かず、1 日のなかで血圧があがる時間帯ができてしまうなど)につながる可能性があります。
以前のブログでも書きましたが、薬は本当によくできていますので、なにか疑問などがありましたら薬剤師の先生からわれわれ処方医になんでも聞いて下さい。現在ジェネリックの主流化によりなかなか薬の名前を言われてもピンとこないことがありますが、ネットで確認すればたいていのことはわかります。上記のようなことも起こり得るのが薬のコワいところです。くれぐれも指定された飲み方等を勝手に変更したりしないようにしましょう。