院長は委員会や会議で「最後にひとこと」と言われると「なにか役立つ知識を」と思いつめて喋りすぎることがありますが許してください。
産業医をやっています。現在数社を担当しており、業種も様々です。医者を含めた医療従事者は「国家試験受験資格を取得できる教育機関(医学部や看護の専門学校など)を出てすぐに医療の世界に入り、そのまま医療業界のなかで勤め上げて退職を迎える」ケースが多く、”世間知らず” と揶揄されることもあります。ひとひととのトラブルや企業活動に深く関わる弁護士・公認会計士・税理士さんたちとは「社会との関わり方が浅い」ということなのかもしれません。
院長も勤務医時代まではそんな感じであったと自負(?)しています。しかし産業医活動を行うと、月に 1 回の職場巡視で実際に従業員の方がどのような環境で勤務されているのかを知ることができたり、危険性のある化学物質(昨年 4 月から規則が大きくかわり、より安全性を高めるような管理が義務化されました)がどのように使用・保管されているか、などを直接現場で確認できたりと、一社会人として学ぶことが多くあり、こちらも大変勉強になります。診察室や手術室でなくともこういった産業保健に関する場所もしっかり "医療現場" なのですね。
その「月に 1 回の職場巡視」ですが、その際に必ずある会議への出席が求められます。労働安全衛生法で設置が定められている委員会で、よく「安全衛生委員会」と呼ばれます。これは法律で産業医の出席が義務付けられており、院長も必ず出席しております。
この委員会はそれぞれの企業において就業者の安全や健康に関する議題を皆で相談する場となっており、産業医にとってはどのような就業中の事故(またはヒヤリハット)があり、どう対応するかを考える重要な会議です。
その委員会ではたいてい「最後に産業医からひとことお願いします」と声をかけられ、相談内容の確認などを行いますが、院長は必ず「健康や医療に関する豆知識」について触れるようにしています。これまでに
・災害時における職場での安全確保や医療体制
・(院長が産業医の役割を担っているのがすべて市内なので)秦野市における新型コロナウイルスやインフルエンザの流行状況
・日本人間ドック・予防医療学会における「要精密検査・医療の基準」
・月経関連の頭痛など女性特有症状に関して会社として対応すべきこと
・長時間のデスクワークが腰に与える負担とその軽減のために行ったほうがよいこと
などなど・・・いろいろとハナシをさせていただきました。
これらのトピックについては「あ、興味を持って聞いてくれているな」というものと「あぁ、あまり関心がなさそう。今日のハナシは出席されている方々の心に刺さらなかったか・・・」というものがあり、もちろんなるべく前者のほうが終わったときに気持ちがよいものです。
最近「ウケた!」と感じたのは「花粉症におけるメインの治療、抗ヒスタミン薬の種類と特徴」でしょうか。秦野は山に囲まれた盆地ですので社内にも花粉症の方が非常に多い、という地域性があるからかと愚考しています。
そんなわけで明日は最近非常に増えている花粉症患者さんの治療薬選択について私見を述べてみようと思います。院長は花粉症を発症した早 25 年!実体験も踏まえてお届けします。