哺乳類の排尿時間はある程度体が大きければだいたい同じらしい
[2024.12.30]
「ゾウもネズミもネコも、心臓は 20 億回打って止まる」。これは大ベストセラー『ゾウの時間 ネズミの時間-サイズの生物学-』(本川達雄 著、1992 年)の帯に書かれたコピーです。1992 年といえば院長が高校に入学した年です。この本は著者の文体が非常に読みやすい科学系の新書だったせいか、高校時代に受けた模試の現代文問題素材として何回か出てきた記憶があります(Z 会でも出てきたのをよく覚えています)。
このなかで、「どうやら『動物の生理的時間は体重の 1/4 乗に比例する』らしい」という推論が出てきます。これが正しいとすると、30 グラムしかないハツカネズミ(2-4 年で死ぬ)と、3 トンもあるゾウ(80 年くらい生きる)、この 2 種は体重は 10 万倍も違いますが、この「10 万」という数字はおよそ「18 の 4 乗倍」に相当します。先ほどの推論に立脚して考えるとゾウとハツカネズミの "感覚としての時間" は 18 倍異なり、ゾウはネズミに比べ時間が 18 倍ゆっくり、一方ネズミは寿命が短いといっても、体内で起こる現象のテンポが速いので、一生を生きた感覚はゾウと同じ可能性が出てきます。面白いですね。
さて、動物園などで例えばシカやサルなどがおしっこをするところを見たこと、あるでしょうか。あの、なんていうか、こちらの力が全部抜けるような間抜けなシーンを。ちょうど上の推論を支持するといってよいのか、2014 年にヒトやゾウ、ライオン、ウシなど、体重 3 kg以上のほ乳類は、排尿開始から終了までの時間がおおよそ 21 秒だとする研究結果が報告されました。体の大きさに比例して膀胱が大きくなるものの、尿道も太くなるので、排尿時間が同じくらいになるようです。さすがに 3 kg 以上なのでハツカネズミとゾウが同じにはなりませんが、面白いですね。
しかし、こうなるとイヌはマーキングのため少しずつ排尿しますね。これらをすべて足すと 21 秒くらいになるのでしょうか。今度ウチのマルではかってみようかと思います。5 回くらいマーキングしたあと、片足を上げるのですが全く尿が出ないときもあるのでなかなか難しいかもしれませんが・・・。泌尿器科医として頑張ってスマホのストップウォッチを駆使しなるべく正確に測定してまた後日報告します。
・・・というようなハナシをして「今度測らせてね」と言ったときのマル。なんか嫌そう。