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昨年当院泌尿器科に来院された患者さんの 6 人に 1 人がこの疾患でした

[2024.06.13]

こんな患者さんが来られましたらある疾患を疑います。

20 代の頃はスリムだったが最近下腹が気になってきた 30 代男性。

長距離トラックのドライバー。

眠気覚ましに 1 日ブラック缶コーヒーを 2-3 本がぶ飲みする。

ときどき車内泊があり、そのときはアルコールを睡眠薬がわりに用いることがある

睡眠時間が不規則で、到着時刻に間に合うように運転するため慢性的にストレスがかかっている。

1-2 ヶ月前から「自転車に乗ったときにサドルが当たる部分に違和感〜鈍痛を自覚し、ときどき排尿時にも鈍痛があるため来院しました」というのが主症状。

 

・・・こういう方は慢性前立腺炎・慢性骨盤症候群を疑い、診療します。

30 代男性 ⇒ 若い方

下腹が気になる ⇒ 肥満傾向

長距離ドライバー ⇒ 座位の時間が長い

睡眠時間が不規則 ⇒ 睡眠休養による十分な体のリセットが行われておらず、慢性的な疲労がある

コーヒー ⇒ カフェイン摂取量が多く、膀胱の刺激症状の一因となっている可能性あり

アルコールを眠剤がわり ⇒ 睡眠の質はかなり低下する

慢性的ストレス ⇒ 常にプレッシャーを感じており、心がなかなか休まらない

自転車サドルが当たる部分 ⇒ 医学的に「会陰部(えいんぶ)」と呼ばれる部位であり、まさに前立腺があるところ、と症状や生活習慣から読み解いて、生活指導(適切な休憩・休養をとる、座位持続時間の短縮化、下肢弾性ストッキングの装着、コーヒーなどカフェイン減量化など)を始めます。諸検査によりこの疾患である、との診断を得たら、セルニルトンなどの治療薬を処方します。

生活習慣の改善やおくすりでだいぶ改善しますが、なかなか完全には症状が消失せず、なかには年単位での治療が必要になることもあります。

血尿で気づく膀胱がんや、激痛でわかる尿管結石症など、派手ではないのですが、上記のような症状がひとつでもあてはまったら是非泌尿器科へ!

写真は欧州泌尿器科学会の Chronic Pelvic Pain(慢性骨盤痛)ガイドラインです。なかなか確定的な検査や有効な治療がない分野ですが診療の方針や今後有望な治療法について 86 ページ使ってかなり詳細に記載されております。われわれ臨床医はこういったガイドラインを横目でみながら、日々患者さんにベストを提供すべく診療しております。疑問がありましたら診療中気軽に尋ねてください。

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