帯状疱疹ワクチンが 2025 年 4 月から定期接種へ(ただし 65 歳以上です)
いつも受診されている患者さんが「数日前から腰が痛くて・・・」と脇腹をおさえながら訴える、なんて光景がここ 1 ヶ月で何回かありました。その方が腰痛持ちだったりするとそのまま鎮痛剤で経過を見てしまったりしそうなところですが、こういったときにしておくべきなのが「患者さんが痛いと言っているところの皮膚をしっかりチェック」することです。見たただけで一発診断できることがあるからです。
その病気とは帯状疱疹。よく言われているのが 2014 年に始まった「小児に対する水ぼうそうワクチン定期接種」以降、成人の帯状疱疹症例が顕著に増加している、ということで、これは疫学調査からもほぼ確実な傾向かと思われます。この定期接種以前は小児の間で水ぼうそうが流行し、そのことが成人の「追加免疫」となっていました。ところが小児の定期接種のためにこの「追加免疫」の機会が失われ、成人の間で数多く発症がみられるようになったと考えられています。
帯状疱疹は首より上に発症すると顔面麻痺、骨盤領域ですと排尿・排便障害など「皮膚科の病気」とはいえない多彩な症状がみられます。少しでも「帯状」の皮疹がみられたら必ず医療機関を受診するようにしましょう。
また、厚生労働省が 2024 年 12 月 18 日付の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会にて帯状疱疹を予防接種法の "B 類疾病" に位置付けることを了承しました。これにより帯状疱疹はインフルエンザや新型コロナウイルス感染症などと同様、ワクチンの接種費用の一部が公費で負担されることになり、定期接種化は今年 4 月 1 日から始まる予定です。個人的には帯状疱疹の急性期が終わった後の神経痛後遺症は非常にツラいので、ぜひとも接種をご検討ください(対象は 65 歳以上となる予定です)。
写真は現在のワクチン接種パンフレット。4 月から公費適用となるのは 65 歳以上なので 50〜64 歳の方々は引き続き接種が自費となりそうです。50 歳以上の方にも補助が出るとよいのですが・・・。