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院長の書評その 3:『火の鳥』手塚治虫先生ーストーリー漫画ここに極まれり

[2024.02.17]

医師で作家の作品として、今回は漫画家も作家のひとつのかたち、ということで手塚治虫先生の作品について。

院長はもともと文系志望で歴史学者か海外を飛び回るジャーナリストなどになれればと思っておりました。

しかしながら、高校 2 年のときに同級生の女子から借りた手塚治虫先生の『ブラック・ジャック』を読んで理転を決意、医学部志望に転じました。高 2 の冬を過ぎていたのでだいぶ担任をはじめいろいろなひとに反対されましたが、現在はそのとき思い切って決断してよかったと思っています。

・・・というわけで『ブラック・ジャック』が院長の人生に大きな影響を与えた作品なのですが、今回紹介したいのは『火の鳥』です。最初に読んだ手塚治虫先生作品だからです。

院長が小学生時代、警察官であった父親が自分で読むのに買ってきたのが角川書店版、ハードカバーの『火の鳥』全 12 巻でした。小 5 であったと記憶しています。父親がいないときにこの『火の鳥』を勝手に読み始めたのが手塚先生作品との出会いでした。

・・・口では言い表せないほどの衝撃を受けました。とにかく圧倒的。ストーリーテリング・伏線回収・歴史事実との絡め方・キャラクターの描き方。すべてがそれまで週刊少年ジャンプを愛読していた自分にとってあまりにも絶妙で、むさぼるように繰り返し読んだことを覚えています。夢中で漫画の世界に没頭できる、すばらしい読書体験でした。

特に乱世編。祖母と NHK ドラマ、『武蔵坊弁慶』(中村吉右衛門さんが主演)が好きで全話じっくりと観ていたので、源平時代に興味があったのですが、その史実に火の鳥の伝説をうまく盛り込む(平清盛が福原遷都したのは火の鳥を捕縛して入手するために港近くに都を遷したかった、というプロットがでてきます)など、さすが漫画の神様、というところが随所にみられます。

他にも「死ぬことができない恐怖」を子供時代にうえつけられた『未来編』、主人公である我王に感情移入して突如として彫刻作品を作りたくなる衝動に駆られる『鳳凰編』、生命とは何かー、ゲノム解析がすべて終わり、iPS 細胞が実用化されつつある今こそもう一度読むべき『復活篇』など。今は文庫版で入手できますので未体験の方は是非この壮大な物語を味わってみてください。

写真は自宅書庫にある手塚治虫先生全作品集 400 巻(+お茶の水博士ぬいぐるみ)です。2001 年、医師国家試験合格祝として祖母が買ってくれました。まだ全作品の半分も読めていないので、あと 3 年くらいのうちに日々少しずつ読んでなんとか読破したいです。

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