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オレ達は皆 生まれた時から 自由だ それを拒むものがどれだけ強くても 関係無い と言って悪党に立ち向かった少年エレンが愛おしい。

[2025.05.09]

最近出てくる名作を生み出す漫画家さんの一部には「これを描くことが運命づけられていた漫画家なのだろうなぁ」と勝手ながら思ってしまうくらい、「ひとつの作品に込める熱量がハンパねえ」先生方がいらっしゃいます。本当に残念ながら他界された『ベルセルク』の三浦建太郎先生や、世界中にファンがいる『ONE PIECE』の尾田栄一郎先生・『NARUTO』の岸本斉史先生はそういった作家先生のような気がします。

もうひとり挙げるとすれば諫山創先生、言わずと知れた『進撃の巨人』です。院長は、以前妻がこの作品を漫画で勝ってきたときに少し読んでみました。しかし大して読み込むことなく「あまり面白くないんじゃない?」的な、今考えたら本当に愚かしい判断をしてしまったという暗い過去を持っています。10 年くらい前でしたか。全く先見の明のカケラもない漫画読みでした。猛省します。

GW からこの作品を Amazon プライムで視聴し始めたのですが・・・どハマりました。ストーリーはもう有名すぎて紹介するのも野暮ですが、人類が「巨人」に立ち向かう壮絶な戦いを描いた作品、とかなりアバウトなことを言っておきましょう。しかしながらこの作品はただの戦闘漫画ではありません。政治、自由、倫理、責任、そして “生きる” ということに対する深い問いが詰まった名作です。まだシーズン 2 の途中なのにもう十分名作です。

そんな名作漫画ですが、院長はいつもなにか作品を味わうとき、「これは医療にも通じるかな?」と、現金ですが、ご利益を探しながら読むクセがあります。本稿では “巨人に挑んだ人類の名言” を、(無理やり)医療の現場に照らし合わせながらご紹介してみます。

1. 「何かを変えることのできる人間がいるとすれば、その人は……きっと、大事なものを捨てることができる人だ。」

これはアルミンのセリフ。少年のようなあどけなさを持ちながら、仲間のために知恵を振り絞り、最後には大きな犠牲を背負う彼の名言です。医療の現場でも、時に “模範解答” を捨てねばならない場面があります。教科書通りに治療してもうまくいかない。ガイドラインと現実が一致しない。患者さんの人生観や背景を踏まえて、“医学的正解”を捨てて“その人の人生にとっての最善”を選ぶとき、医療者は葛藤します。

例えば高齢者に対するがん治療。全身麻酔で 7 時間かかる手術の対象を何歳までとするか、また、合併症のリスクがある方にどこまで負担をかけて手術するか、などそんなとき、われわれ医療者は「標準的な解答」という信念と、「その人らしさを尊重する」という想いのはざまで、大事な何かを捨てる覚悟を求められることがあります。

2. 「人は戦うことをやめた時、初めて敗北する。」

これはミケのセリフ。ミケはリヴァイの 2 番手ながら、獣型の巨人による襲撃であえない最期を遂げます(好きなキャラクターだったのにすぐにいなくなってしまってすごく残念です)。彼が壁の中で「諦め」を受け入れた人たちに向けた強烈なメッセージです。われわれ医療者も、ときに「諦め」と向き合うことがあります。ステージ IV のがんに対して積極的な治療をしているにも関わらず病変が進展しているときなど。そんなときは無力感に苦しむことがあります。しかしながら、それでも、患者さんの苦痛を和らげ、家族の心に寄り添い、穏やかな最期を迎えてもらうために “戦い続ける” ことは巨人のいる世界と同様、可能です。敗北とは、「もうどうでもいい」と手を引いてしまうこと、とすれば、“治せないから終わり”ではなく、“最後まで支え続ける”ことが、医療の世界における戦い方なのかもしれません。

3. 「何のために生まれて、何をして生きるのか。」

このフレーズは実は『進撃の巨人』ではなく某やなせたかし先生による超有名子供向け漫画のテーマソングですが、進撃の世界でも何度となく繰り返される問いです。特にエレンやミカサが悩む「生きる意味」や「戦う意味」は、命に向き合う医療の根幹と重なります。

たとえば終末期医療では、医療そのものの意味が問われます。「延命する」ことと「生きる」ことは違う。
だからこそ、患者さん自身が「何のために生きるのか」を見つけ、それを私たちがサポートすることが大事になります。

医療者自身も、「自分は何のために医者をしているのか」を時折自問する必要があります。給料のため?感謝されたいから?もちろん、それも動機の一つでよいのかもしれません。でも、やっぱりその根底にあるのは「誰かを支えたい」という気持ちではないでしょうか。

4. 終わりに——「進撃」する医療のあり方

『進撃の巨人』は、(まだシーズン 2 途中までしか観ていない院長の予想では)自由を求める人間たちの戦いがひとつのテーマのようにみえます。そして、医療という現場もまた、日々「壁」の中で葛藤し、目の前の“巨人”(病気や社会構造、制度の限界)に立ち向かっているのかもしれません。

でも、誰かの命と向き合うたびに、私たちはまた“進撃”を始めるのです。

「絶対」はなくても、「希望」はある。
「正解」はなくても、「信念」はある。
それが、医療という戦場で生きる者たちの物語なのかもしれません。

そのためにはわれわれ医療者は、常に学んでいかなければならないという責務を負っています。

「100 年壁が壊されなかったからといって 今日壊されない保証なんかどこにもない」(アルミンの言葉)からです。

・・・作品を知らない方にはナンノコッチャな内容で申し訳ありません。未読・未視聴の方は是非一緒に『進撃の巨人』ニストになりましょう(^o^)

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