忙しい日々ですが、なんとか時間を作って夫婦で観ているマンガ(アニメ)について明日から勝手に語りますーまずはエピソードゼロとしての自分語りを。
以前にも書きましたが、院長は高校 2 年の終わりまで文系で、当時は歴史学者か海外でビジネスをできるようなひとになるのがぼんやりとした目標でした。中学時代の好きな科目は英語と社会(特に歴史)、あと古典(古文漢文)がわりと、という感じ。そのため高校入試が終わった時点ですでにどこかの文学部史学科か、哲学科あたりでモノゴトの成り立ちや本質を研究できれば、などと中坊なりに考えていたのです。
出身校の神奈川県立湘南高校は当時、各中学の優等生が集まる進学校でしたのでそれまで「クラスで 1 番が当たり前」の環境だったのが、1 年のときはクラスで 3 位くらい、学年で 20 位くらい(年度末にもらう通知表に学年順位が書いてありました)。それが 2 年になると学年で 5 位くらいとなり、それなりにレベルが高い駿台全国模試で第一志望に「東大文科三類」と書いたら高 2 の秋頃で B 判定でした。担任の先生と保護者の面談でも「このままいけば東大文系現役でいけるでしょう」と言われた、と母親に教えてもらったことを覚えています。
しかし、高校 2 年の 1 月でした。進路を大きく変える作品と出会ったのです。月並みですが、手塚治虫先生の『ブラックジャック』。隣の席に座っていた、いつもたくさん本を読んでいた女子が貸してくれたのです。確か秋田書店版ではなく、ハードカバーの愛蔵版であったと記憶しています。そのなかの第一巻にあった『ときには真珠のように』というエピソードでブラックジャックの恩師、本間先生が言ったセリフ、「人間が生きものの生き死にを自由にしようなんて おこがましいとは思わんかね……」これが高校時代の院長に刺さりまくりました。
歴史や哲学はなにか他の仕事についていても学ぶことができるかもしれないが、医学はさすがに独学無理だから医学部に行ってみよう。
若気の至りながらそう考え、理系に転向することを決めました。この時点で日本史は独学で教科書を 2 周くらいすでに読み終えており、世界史も 1 周やっていたところでした。それに対して理科は化学が少し得意なくらいで物理はあまり好きではなく、生物は 1 年生のときやっただけで忘れてしまっている、という状況。さらに理系最重要科目である数学は苦手意識が拭えない。担任の先生や何人かの友人からは「文系だったらトップに近いところにいるんだからわざわざ理転しなくてもいいんじゃない?」とか言われましたが、高校の数学教師をやっていた母親だけは自分の理転に何も文句を言わず応援してくれるような声をかけてくれました。
ちなみに当時の湘南高校は 2 年の終わりまで文系・理系の区別がなく、3 年時からそれらが分かれるようなカリキュラムになっていましたので、このとき理転を決めても授業の進行的には問題ナシ。早い時期から文系・理系をわける高校ではなくてラッキーでした。
それからは物理と数学に相当の時間を費やしました。高校 3 年の夏休みまでにすべての内容について基礎を固めつつ、とにかく計算問題など、絶対に落としてはいけないところを強化するために基礎固めをひたすら反復し、ケアレスミスでの失点を防ぐようにしました。おかげでいまでも前を走る車のナンバープレートをみて、「48-18」とかだと、一瞬で「最小公倍数は 144 で最大公約数は 6 だな」とか、野球を観ていて電光掲示板のスコアボードがうつると、「1 から 9 の最小公倍数は 2520 だな」とか結構瞬時に答えを出すことができるようになり、これが今でも意外と役立っています。
数学と物理はとにかく根気が必要です。スポーツと似ているのです。「ひたすら頑張っているとある日突然成績が急上昇するときが来る。だからそれまでじっと耐えて頑張る」ことが必要で、「毎日素振りしていたら急に相手との間合いが正確にはかれるようになった」院長の中学時代における剣道の伸び方とそっくり。数学は高 3 の 12 月くらい、物理はその前の 10 月くらいに急にできるようになった感覚が確かにあり、これまで苦労していたやや難しめの問題集を朝から喜んでやるようになったのがセンター試験直前の 12 月中旬からだったのをよく覚えています。おかげで理転を決めたときにはまさか自分が受けられるレベルまで到達できると思っていなかった東大理科三類(医学部)受験を決断するに至るわけです。
・・・とまあこんなわけでマンガのおかげで人生ここまで歩んでこられました。そんな院長がここ 4-5 年で読んだ(またはアニメを観た)作品を明日から紹介していきたいと思います。ただ紹介するだけですとアレなので、なるべくそこから得られた "学び" をどう日々の医療活動に活かしているか、活かそうとしているかも加味して。
明日まずは現在進行中で Amazon プライム絶賛視聴中の『進撃の巨人』を。ちなみに現時点でまだシーズン 2 で、ユミルが塔から飛び降りて・・・というところまでしか観ていません。このブログを読んでくれている方、どうかしばらくは『進撃の巨人』に関するネタバレを教えるのは NG でお願いします。この作品、あまりにも面白く、少しずつ味わいながら観ているので、もし不用意なネタバレをされたら普段はあまり怒らない院長が発狂する可能性がありますよ。
Chat GPT にイラスト描いてもらいましたが、手塚先生の顔は畏れ多いので黒塗りにしました。