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女性によく起こる「あの病気」を予防するために院長が流行らせたいコト。

[2025.03.11]

突然ですが皆様 "菌血症" になったこと、あるでしょうか?

・・・菌血症。コワいコトバですね。Wikipedia によると「本来無菌であるはずの血液中に細菌が認められる状態を指し、通常血液培養によって証明される」と書いてあります。これを参考して上記の質問を考えると、おそらく「そんな状態になったことはないよー」という方が多いと思います。

それではもうひとつ質問を。これまでに "ハミガキ中に歯グキから出血" したことはあるでしょうか?

・・・おそらく少なくない方が経験したことがあることでしょう。

以前読んだ論文(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15832100/)によると、ハミガキによる菌血症の発症はまれ、ということですが、一方で口腔内環境によっては起こり得る(https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC2746717/pdf/nihms126232.pdf)と述べている論文もあります。健康な方であれば多少血液中に細菌が入っても白血球(特に好中球と呼ばれるタイプ)が食べてくれて特に何も起こらず細菌は退場していくようになっています。免疫ってすごいですね。

感染症というのは、健康で活発な生活を送れている日々のなかではあまり経験することはありませんが、ひとたび手術を受けることになったり長期の薬物治療(抗がん剤など)を受けることになったりすると誰にでも起こり得る、ありふれた疾患です。

そんな感染症のなかで最も当院で治療の対象になるのが膀胱炎です。膀胱炎となる方のほとんど、というかほぼ 100% が女性です(ちなみに男性で膀胱炎みたいな症状を訴える方は前立腺炎や膀胱がんなどが多い)。10 代から 70 代まで幅広くかかる疾患ですが、当院のデータでみると 50 歳以下が多いです。

膀胱炎は有名な疾患ですので「飲水を多めに」「性交渉後は就寝前に排尿(+シャワーなどで局部を清潔に)」「ストレス避ける」「睡眠時間を十分に」など、いろいろと予防法について知られています。しかしながら、院長がいつも外来で指導しているのが「トイレのあとに手を洗うひとは多いですが、トイレの "前" こそ手を洗ってください」ということです。これはミシガン大学の先生が 2023 年に書かれた "StatPearls"(臨床上の "コツ" みたいな感じ)のなかの記事でも書かれておりました。「局所に触れる手指をキレイにしておく」というものすごく単純な方法ですが、有効性は高いのではないかと予想しています。今後何らかのカタチで臨床のデータを取ってみたいですね。

膀胱炎にしても感冒(いわゆるカゼ)にしても、ありふれた疾患こそ奥深いもの。「いつもの診療」として流してしまうことなく一例一例クリニック全体でキチンと診ていこうと思います。

写真は欧州泌尿器科学会の泌尿器科感染症についてのガイドライン。なにかわからないことがあるとこれを読みますが、感染症は "地域差" がかなり大きいので盲信すると日本の患者さんと合わないことがあるので参考程度にしています。

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