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診療報酬改定で 6 月から医療費がかわります

[2024.05.16]

当院のような保険医療機関は ED 治療薬などを除き、原則として医療保険制度に則って診療を行っております。保険制度で主な診療を行う限り、保険点数はクリニック経営の観点で極めて重要です。当院でも収入源のほぼすべてがこの保険収入です。

診療報酬と呼ばれるこの保険点数については 2 年ごと、介護報酬や障害福祉サービスは 3 年ごとにこの点数が改定されていくので、2 と 3 の最小公倍数である 6 年に 1 回、「医療・介護・障害福祉」の 3 つに関する点数がすべて変更(トリプル改定と呼ばれる)されることになります。

2024 年はこの 6 年に 1 回のトリプル改定の年にあたります。通常は 4 月に改定・施行されるのですが、今年はその準備に時間がかかるだろうということで、施行が 6 月からということになっております。

この改定により、当院を含めて医療機関を受診するときの支払いが 5/31(金) ⇒ 6/1(土) で突然かわります。特に、今後このことは様々なマスコミがさらに取り上げることになると思いますが、「高血圧」「糖尿病」「脂質異常症」という内科系診療所で多く診ている慢性疾患について、これまで請求できた「特定疾患療養管理料」が削除されることになりました。これは 225 点 = 2250 円なので、本当に単純計算すると、この 3 つの疾患について、ひとりの患者さんあたりのクリニック収入が 2000 円以上減少する、ということになります。

当院は午前と午後に通常の診療を行う月・水・金の 3 日に限って言うと、これら 3 つの疾患を持っている患者さんが 50-60 名ほどいらっしゃいます。そのためこの収入減はかなり経営上痛手になります。

現在日本の経済状況はかなり厳しく、社会保険費についてはその度重なる負担増により、若者世代から悲鳴が出ています。

そのような状況のなかでこういった開業医に不利な点数をつける、ということは今後さらに医療機関(特に診療所)は厳しい経営を強いられることになります。

当院は小さいながらも  8 名のスタッフを抱えており、院長にはいつも患者さんのために懸命に働いているスタッフには人間らしい文化的な生活を送ってもらう義務があります。

医療機関なのにお金儲けを考えなければいけないというのは残念なことなのですが、以上のような状況ですので患者さんの診療に必要と考える検査・治療はしっかりと行い、適正な診療報酬請求をしてまいりたいと思います。

・・・昨日紹介した GPT-4o など、AI ツールをうまく使えばこういった事務手続きはもっと楽になると思うのですが、なかなか日本でこういった新しい技術が公的な仕事に取り入れられるまでに時間がかかるので、すぐには導入されないだろうな・・・。

写真は今回改訂の参考資料ですが、『広辞苑』みたいな分厚さなのでとても通読するのは無理です。拾い読みするにも大変です。

医療 DX の前にこういった公的なものをもう少しわかりやすくできないもんでしょうか。

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