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幻の日本女性医師第一号 楠本イネ 先生を描いた小説を読んで思うこと

[2024.01.16]

江戸時代に鎖国(この用語も最近見直されつつあるようですが)中の日本に来た医師として、シーボルトは有名です。

シーボルトは、ドイツ人であることを隠してオランダ商館に住み、医師としてだけでなく、博物学者としても日欧で学術的な足跡を残しました。日本の植物に関する膨大な情報をまとめた『日本植物図譜 シーボルトコレクション』は貴重な記録です。彼は 1823 年にオランダ東インド会社の医官として日本に派遣されました。シーボルトの入国は不法なものでしたが、うまく出島に入り込んだ彼は、長崎奉行に仕えることとなりました。

シーボルトは丸山遊廓の遊女・其扇を見初め、二人の間におイネが生まれますが、その直後に日本地図の国外持ち出しなどの大胆な法破りが幕府の知るところとなり、シーボルトは追放されおイネは日本で母の元に残されます。

イネ先生は当時一般的であった「産婆」ではなく、「産科医」を志しました。女性医師がまだひとりもいなかった時代です。

その波乱万丈な人生をドラマとしてまとめあげた吉村昭先生の小説で『ふぉん・しいほるとの娘』があります。

医学生時代に読んだときは素晴らしいノンフィクションに近い物語だと思ってしまったのですが、いろいろと勉強して史実を知ってみるとかなりの部分が脚色されている内容でした。

ただ、歴史小説というのは脚色されていようが作者の思い込みが入っていようが「面白い」ことがまず第一かと思いますのでこれはこれでアリではないかと思っています。

蘭学に情熱を傾けた江戸時代の医師たち、幕末の志士たち、戦死した自分の祖父が妻である祖母にフィリピンから書いた数々の手紙・・・。

彼らの言葉や手紙を読むと、とにかく昔のひとは「純粋で一心不乱」であると感じます。

モノと情報に溢れ、豊富な選択肢の中で生きているわれわれですが、歴史、特にそれほど古くない歴史から学べることはたくさんあります。

現在は医学情報の発信源である論文は、そのすべてがデジタルデータとしていつでも閲覧できる時代になりました。この状況に感謝し、日々勉強してまいりたいと思います。

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