生薬(しょうやく)って何ですか? と聞かれました
院長は漢方を診療に取り入れており、当院でも相当数の方剤を処方してきました。
本日「防風通聖散」という漢方薬を処方している患者さんに
「これはエキス剤と呼ばれるパックになっている漢方の中で一番生薬(しょうやく)が多いんです」と言ったら「生薬ってなんですか?」と聞かれました。
生薬とは「漢方を構成する薬効があるとされる構成成分」となんとなく思っていたのですが、「そういえば定義を確認したことがないな」と思い、株式会社ツムラさんのウェブサイトに行ってみました。
そこには「生薬(しょうやく)とは、植物の葉、茎、根などや鉱物、動物のなかで薬効があるとされる一部分を加工したものです。 (加工とは、切る、乾燥する、蒸すなどをさします。) 漢方薬とは、漢方医学の考え方にもとづき、基本的には 2 種類以上の生薬を定められた量で組み合わせた薬のことです」(https://www.tsumura.co.jp/hellotsumura/page/qa.html)とありました。
まあ簡単に言えば「治療に使えそうだけれども自然のものなのでひとつではなかなか効かず、複数を組み合わせることによって薬たり得る構成成分のひとつひとつ」でしょうか。・・・あまり簡単ではないですね。すみません。
このように当たり前に使用している用語も説明しようとするとなかなか難しいものがありますが、とりあえず漢方における生薬とは「薬の構成成分」くらいに考えて頂ければよいと思います。
ちなみに漢方薬は原則として構成生薬の数が少ないほど速効性があります。
こむら返りに効くことで有名な芍薬甘草湯(シャクヤクとカンゾウ)、のどかぜに有効な桔梗湯(キキョウとカンゾウ)、めまいに使われる沢瀉湯(タクシャとビャクジュツ)など、2 つの生薬でできている漢方薬は飲むとすぐに効果が出ることが多いです。
逆に冒頭で例を出した防風通聖散は 18 個の生薬で構成されており、効果が出るには院長の印象ですと 3-4 週くらいかかります。
明日は、今月神戸で開かれる泌尿器科漢方研究会(院長が演者として発表します)の演題として取り上げる半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)を例にしつつ、ひとつの漢方薬がどのように構成されているかを簡単に説明してみようと思います。
写真はおそらく最も有名な漢方薬、葛根湯(ツムラのもの)構成生薬です。7 つあり、「体をあたため」「消化吸収を強めて」「汗を調整して」「血液を補う」などの生薬でできています。それぞれの生薬に意味があり、含有量も重要なんです。漢方は奥が深い!