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勤務医の先生方とお付き合いさせていただくのは "紹介しやすくする" のではなく "◯◯ してもらう" ため。

[2025.03.13]

開業すると本当に病院勤務医の先生方にお世話になることが多いです。手術が必要な患者さんを紹介したり、当院では医療機器やマンパワーなどの問題で施行できない検査や治療をお願いしたり。そういったとき、近隣の勤務医先生方とのつながりはわれわれにとってかけがえのない絆であり、本当にありがたいものです。

2 年前まで院長が勤務医をやっている頃はよく開業医の先生方からご紹介いただきました。これは大変ありがたいことでしたが、本当に本当にときどき、「腎臓がんが見つかりました。でもあの先生に治療してもらえれば手術は大丈夫!」とやや「楽観的」なことを言われた患者さんが来院されるようなことを経験しました。こういった場合に、大きな術前の併存症、たとえば心臓疾患(冠動脈の高度狭窄(心筋梗塞)など)が見つかったりすると大変です。心臓のほうが腎臓より重要臓器ですので手術はまずそちらを優先することになります。こういったときにカテーテル治療で済めばよいのですが、重症の血管狭窄がみつかると開胸下での心臓手術が必要になり、心臓手術プラス術後のリハビリで 2-3 ヶ月、がんの手術が延期になったりします。

そして心臓リハビリも終わって改めて腎臓の手術について、術前の説明を行うとき。こういった大きな手術後というのは体力は落ちています。心臓外科の先生は最高の手術をしてくれていますが、なんといっても人体最重要臓器の心臓です。術中・術後に血管系の合併症を起こす可能性は十分あり、こちらもそのリスクを十分に説明する必要があります。このときリスクについて強調しすぎてしまうと「かかりつけの先生はここにくれば大丈夫、って言われたから来たのにそんなにリスクばかり言うなよ・・・」みたいな感じになり、患者ー医療者関係がややギクシャクすることがあります。

心臓や がん のような大きな疾患に対して治療を行う場合、手術にしても薬物治療にしても、受ける患者さんがいちばん大変で、次にそれを手掛ける病院(医師を含めた医療チーム)に負荷がかかります。われわれ開業医はそういった方々の不安をなるべく取り除き、少しでも円滑な医療が行われるように全力でサポートするよう気をつけています。そのため当院で がん や心臓疾患、肺疾患が見つかって病院に紹介する際、院長はできるかぎり当院で得られた臨床情報を紹介状に記載し、「どうか何卒よろしくお願いします!!」という気持ちで診ていただいております。

勤務医時代の「紹介される立場」から「紹介させて頂く立場」に役割がかわったことで双方の気持ちを理解できるようになったのはありがたいことです。そしてなるべく勤務医の先生方と「顔が見える関係」を築けるよう、交流の機会があれば参加するようにし、院長の人柄や診療に対する姿勢などを共有させていただいております。これは「こちらが紹介しやすくする」ためではなく「先方の勤務医先生方に信頼してもらえる」ためです。

つい先日、秦野赤十字病院の地域連携懇話会で手術ロボット、ダビンチが導入され、スムーズに手術件数が増加している旨の講演を拝聴することができました。当院からも何例か紹介させていただいており、その手術件数に寄与できています。ありがたい。今後もいろいろな施設、様々な診療科の先生方から信頼に値するクリニック、と考えていただけるよう日々学んでまいりたいと思います。

 

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