メニュー

研究会では実習があるとものすごく学習効率が上がります

[2025.02.10]

最近このブログを愛読している、とありがたいことを院長に伝えてくれた患者さんに「いつも結構長い文章をどのくらい時間をかけて書いているんですか?」と質問されました。

うーん。テーマによる・・・。気楽なことやエピソードを紹介するだけの内容なら 10 分かからないときもありますし、一方で「自分も勉強したて」みたいなトピックについて書くと 1 時間くらいかかってしまうこともあります。平均とれば 20 分でしょうか。文章を書くのは全く苦にならないのと、なんとなく思いをタイプしたり紙に書いたりすると精神的なストレス軽減によい(後者のアナログ的手法のほうがより効果的と言われています)らしく、自分でも書き終わるとスッキリするのでなんらかの大きな事故でも起こらない限りこのブログは続けていこうと思います。

最近 AI の台頭でこれまで以上に業務について「コスパ」、「タイパ」が叫ばれる世の中、医療の世界でも以前ほど特に若手医師が「講演会」「研究会」にオーディエンスとして集まらなくなっている傾向がある、とある大学准教授から聞いたことがあります。ある若手が「わざわざ研究会行って 60 分ハナシ聴くならオンラインで参加して自分の仕事をしながら重要なところだけ耳傾けるほうがタイパがよい」と言ったとのこと。

・・・確かに一理あるのですが、学習に関するエビデンスで言うなら「同時にマルチタスク」よりも「シングルタスクをひとつひとつ片付けて進む」ほうが効率的、とされております。また、同じ講演を聴くにしても現場の緊張感というか、高名な先生の立ち居振る舞いやプレゼンテーション能力を勉強するにはリアルのほうがいい面もあります。是非若手のうちは「食わず嫌い王」にならないように、時間の許す限り様々な先生のハナシを聴いてもらいたいな、と老婆心ながら思います。自らのプレゼンテーション能力向上にも役立ちますし。

ところで最近院長が師事している漢方のエキスパート、東海大学 東洋医学科科長 野上 達也 先生が登壇された研究会に参加してまいりました。このときに大変勉強になったのが、協賛会社の社員が患者さん役となって漢方方剤決定に大きな情報を与えてくれる腹診(特に東洋医学的なお腹の所見をとる診察のことをこう呼びます)の実習です。単に講演を聴くだけより、実際に腹部に触れ、師匠の所見と自分の診察内容を照らし合わせてみて自らの過不足を知る、というのは座学の数倍学習効果が高かったです。

手術についての研究会も、(お金がかかるので道具を提供してくれる企業が限られるのですが)ブタの血管や腸管などを腹腔鏡に見立てたシミュレータを用いて実際に手術で使用する糸を使ってつなぎ合わせる、みたいなものがかつては随分ありました。AI とともに進化しているのが 3D プリンター。絶対にヒトで練習するわけにはいかない医学教育。今後はリアルな「人体モデル」が安価に入手でき、医学生や研修医が最前線の現場に出る前に充分トレーニングを積めるようなシステムの構築を各大学には期待したいと思っております。・・・ちなみに本日のブログに 11 分 44 秒かかりました(ストップウォッチで計った)。

写真は上述の研究会で野上先生と(写真掲載について先生より許諾をいただいております)。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME