「学会で発表!」とか言うとなんかスゴいことのようですが、国内学会の印象としては本当に面白い演題は全体の一部です。
一般の方からみると不思議な団体、それが学会です。とにかく有象無象というと「無象」側の学会に失礼ですが、日本だけでも大量の学会が存在します。Chat GPT に「日本にはいくつの "学会" がありますか?大体でよいのでその数を教えて下さい」と聞いてみたところ、「日本にはおおよそ 2k000 団体前後の "学会(学術研究団体)" が存在するとされています。例えば、ある解説では「2021年時点で公的に認められている学会は2,051団体」と記載されています」と回答してきました。Chat GPT を含めた AI は平気でウソを付くのでこれが正しいかどうかはわかりませんが、とにかくたくさんあります。そのうち医学に関する基盤の学会についてはその数を容易に調べることができます。「一般社団法人 日本医学会連合」のウェブサイト(https://www.jmsf.or.jp/accession)に飛べば、加盟学会一覧が No.1 の「日本医史学会」から No.144 の「日本甲状腺学会」まで 144 団体。しかしながらこの加盟学会一覧に掲載されていない学会(たとえば院長が加入している「日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会」とか「日本メンズヘルス医学会」など)もあり、本当に小さな学会を含めれば一体いくつあるのか、もうわかりません。
そしてそれぞれの学会に入るのに必要な資格が基本的に「医師免許」と「入会金・年会費」の 2 つのみ。「わたしは ◯◯ 学会会員です!」とか偉そうに言っても、それは「年会費 ◇ 万円を毎年支払っているだけの医師です」と言っているに等しい。大したことはないのです。
年会費を払ってまで学会に入るメリットを挙げると以下のようなことでしょうか。
(1) 最新の医学情報を得られる:学会では毎年「学術集会(学会大会)」が開かれ、国内外の最新研究や新しい治療法が紹介されます。会員になると論文誌やオンライン配信で、常に最新の医学知識に触れられるのが大きな利点です。ただし分野によりますが、「日本発」の情報はそれほど多くなく、結局欧米の学会から発信される情報をフォローすることもあわせて必要です。
(2) 専門医資格の取得・更新に必要:多くの医学会は、専門医制度と連動しています。たとえば日本泌尿器科学会に所属していなければ「泌尿器科専門医」の資格を維持できません。ロボット支援手術について若手ドクターを指導するにも「日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会」が承認する「ロボット手術プロクター」という資格が必要です。こういった資格はわれわれ医師にとっては “プロの照明” という意味で重要です。
(3) 演題発表による他施設医師との交流など、人脈づくりの場になる:学会発表は、自分の診療経験や研究成果を発表するチャンスです。また、同業の先生方とのつながりもでき、共同研究やひょんなことから「ウチに来てみませんか」などのリクルートチャンスもあり、キャリアアップにつながる可能性があります。
(4) 社会的信頼の担保:学会に所属し、特に専門医資格を有しているということは「継続的にその分野についての学習を継続している医師としての専門家」という信頼につながっています。院長は現在、来年受験資格を得られる日本東洋医学会の専門医試験をクリアすべく漢方を含めた東洋医学を勉強中ですが、そういった資格は患者さんに安心感を与える効用があると思います。
学会は、理事などになってその中枢に入る機会がなければ(こういう先生は非常に限られています。学会全体の 1-3% くらい?)基本的に学会にはお願いするばかり(勤務先変更やメールアドレス変更、専門医更新申請や技術認定医など)です。
しかし、ときどき学会から依頼を受けることがあります。それが座長だったりシンポジウムだったり。そのなかで先週は群馬県高崎市で開催された日本泌尿器科学会東部総会でポスター発表の座長を仰せつかりました。こういった依頼は「依頼されるウチが華」なので、依頼されればこれまで謹んで受けております。明日のブログでは「演者(発表するひと)」も大変ですが、「座長(そのセッションを管理するひと)」もそれなりに準備が必要、というハナシをさせていただきます。
年会費と学会参加費だけで年間 ◯ 万円が一瞬にして飛んでしまうのが学会。でも一度入るとなかなか辞められないのも学会。とりあえず院長は現在、開業するとなかなか参加できない日本内視鏡外科学会(会員および泌尿器科腹腔鏡技術認定医資格)を継続するか否か、悩んでおります。
