神奈川県知事が注力しているということですが、4 期目の現在もまだ医療現場ではその成果は感じられない "◯◯" 対策。
院長は神奈川県民です。「神奈川県民です」ということは「横浜・鎌倉市民ではない」ということとほぼイコールです。これは神戸に住んでいると「兵庫県民です」とはあまり言わないのと。名古屋に住んでいると「愛知県民です」とはあまり言わないのと似ているかもしれません。院長はこれまでの人生で横浜市民から「神奈川県民です」と言われたことがほぼほぼありません。一方、鎌倉でも大船界隈に住んでいるひとは「神奈川県民」と言うことが多い印象がありますが、鎌倉地域、すなわち雪ノ下とか扇ガ谷、御成町とか笹目町とかに住んでいるひとが「神奈川県民です」と言っているのを見たことがありません。・・・鎌倉に詳しくないひとは全く意味がわからない話題ですみません。地名に限らず、言葉のもつ "イメージ" って大切ですね。
そんな神奈川県の知事、黒岩祐治 氏が就任以来力を入れている(?)のが "未病" に対するアプローチです。未病とはすなわち、「病気になる前段階」のことで、本格的な病になる前にはやめに介入して重症化を防ぐ、ということだそう。しかしながら、先日知事が出演し、これまで 4 選をうけて達成してきた仕事について "ReHacQ(リハック)" という動画メディアでインフルエンサーの ひろゆき さんや 政治学者の 西田亮介 さんにツッコミを受けていましたが(https://www.youtube.com/watch?v=uhtNZIisc8w)、結局具体的な成果はあまり出ていないことが露呈されるような内容で、その点は些か残念でした。自分の県民税が、あまり成果の出ていない(また、その見込みもこの動画を観るかぎりだとあまりなさそうな)医療(もどき?)に使われていると思うと、う〜ん、と考えてしまいます。
未病、とは医学的には全く確立されていない用語ですが、これをもう認知されている言葉で代替するなら「フレイル」でしょうか。Wikipedia で調べてみると「健康な状態と要介護状態の中間の段階の状態であり、予備能力低下により身体機能障害に陥りやすい状態のことの総称。日本では 2014 年に日本老年医学会より虚弱に代わる学術用語として提唱された」とあります。
このフレイル、最近国内外の論文を読んでいるとかなり頻繁に出てきます。日本をはじめ、先進国社会がいずれも長寿化していることと関連している影響かと思われます。これは簡単に言うと「要介護の一歩手前」みたいな状態。そのため、その状態がさらに進行するともとに戻すことが難しくなりますが、早期に気づいて生活習慣を整えることで、十分に予防・改善が可能ともいえます。健康寿命をのばす第一歩は、この “プレ要介護” 状態に陥らないようにすることです。その対策について簡単に述べてみましょう。
フレイル予防の基本は「食」。特に筋肉や免疫力を維持するためにタンパク質の摂取が重要です。肉・魚・卵・豆製品・乳製品を、日々意識して取りましょう。特にパン食の方はついついタンパク質フリーの食事になりやすいのでしっかりとおかずを加えるように意識することをおすすめします。さらに食物繊維・ビタミン・ミネラルを豊富に含む野菜や果物も欠かせません。食欲が落ちたときは、みそ汁に豆腐や卵を入れる、ヨーグルトや牛乳をおやつにするなど、「小分けに、回数を増やす工夫」も効果的です。
次に運動。最大の敵は「動かないこと」。1 日の 8000 歩以上を目安に、買い物や散歩など日常の中で身体を動かす習慣をつくりましょう。特に、下肢筋力とバランス能力を鍛える運動が有効ですのでなるべくクルマに頼らないようにするのが(特に秦野のような非都市部では)大切です。椅子から立ち上がる「スクワット」、かかと上げ運動、片脚立ちなどは、自宅でも簡単に実践できます。週 2 回程度の筋トレやストレッチを習慣化できればまずは最低限かと思います。
さらに身体面だけでなく、「社会的フレイル」にも注意が必要です。メンタルヘルスを健やかに保つこと。特に孤立は認知機能や意欲の低下を招きやすくなります。地域のサークル、ボランティア活動、趣味の集まりなど、人と関わる場を持ちましょう。オンラインの交流でも構いません。「ありがとう」「久しぶり」が交わされる場が、何よりの薬になります。特に男性。定年前に仕事一辺倒で頑張ってきた方ほどこの社会的・精神的フレイルに陥る可能性があります。そういう院長もあまり付き合いがよいほうではないのでもう少し積極的に人付き合いをしないといけないなぁと思う今日このごろです。
あとは加齢により多かれ少なかれ必ず質が低下する睡眠。良質な睡眠は筋肉・ホルモン・免疫の回復に不可欠です。就寝前のスマホやカフェインを控え、規則正しい生活リズムを保ちましょう。また、特に気づかれづらい "男性更年期" や "定年後うつ" などを含む意欲低下もフレイルの一因になります。気分が晴れないときは、医療機関の受診を是非考えてみて下さい。
高血圧・糖尿病・貧血・口腔機能低下などは、知らぬ間にフレイルを進めます。予防のために年 1-2 回の健康診断や人間ドックに加え、握力測定や歩行速度のチェックも早期発見の手がかりになります。「なんとなく疲れやすい」「外出が減った」と感じたら、すでに黄色信号といえるかもしれません。「別に大きな病気ではないと思うけど・・・」という程度でも、是非一度相談してみてください。当院のようないわゆる "町医者" で大丈夫ですので。
神奈川県知事が相当の予算をかけたようですが、現場にはまだその予算の恩恵を感じられないのが残念なところですが、とにかく一日一日の生活が未病の対策・フレイルの予防になります。食事・運動・睡眠・社会交流・予防医療。是非これらについてなんとなくアタマに入れておいていただければ幸いです。長い人生。最後まで走りきりたい院長でした。
